COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/06/05 EC・通販事業者システムメーカー・製造業在庫管理小売業(リアル店舗)物流業務の効率化

クラウド在庫管理システムのメリットと選び方:導入の手順を解説

クラウド在庫管理システムのメリットと選び方

サプライチェーンの最適化に欠かせない在庫管理。倉庫現場における作業のさらなる効率化を支援するのが、在庫管理システムです。消費スタイルの多様化や災害時のライフライン確保を背景に、社会に不可欠なインフラである物流への期待がさらに高まる中で、柔軟な対応力のあるシステムとして注目されているのが、クラウド型の在庫管理システムです。ここでは、クラウドを活用した在庫管理システムの導入を検討する皆様に向けて、その利点やサービスの選び方、導入事例まで詳しく紹介します。

在庫管理システムとは?

在庫管理システムの基本概念

まずは、在庫管理システムの基本的な概念について、振り返っておきます。倉庫においてアイテムや数量など在庫に関する様々な情報を一元的に管理するとともに、在庫の動きを「見える化」すること。それが在庫管理システムの基本的な機能です。

具体的には、バーコードや二次元コードによるデータ入力の支援機能が搭載されており、入出荷管理や棚卸、データ分析、書類作成などの業務を効率化します。販売戦略を考える上で最も重要な判断材料の一つである在庫情報を正確に把握すると共に、現場のオペレーションや管理にかかる時間の削減を実現します。

こうした在庫管理におけるシステム化は、1970年代に生まれた発想であり、その後の倉庫現場の姿を大きく変えたWMS(倉庫管理システム)の原点とも言えます。裏を返せば、在庫管理は現在に至るまで、サプライチェーンの円滑化を左右する重要なプロセスであることが分かります。

クラウドを活用した在庫管理システムの特徴

これまで倉庫における業務の効率化・最適化を推進してきた在庫管理システムですが、現場での作業内容は近年、劇的に変わってきているのが実情です。物量の増大に加えて、その荷姿も多様になる中で、繁忙さを極める現場の業務効率のさらなる向上は、物流という社会的なインフラ機能の確保・拡大に欠かせないポイントになってきているのです。

こうした状況に、在庫管理システムも進化し対応していく必要があります。そこで生まれた考え方が、在庫管理業務のクラウド活用です。

従来のシステムは、企業内にサーバを設置して運用するものでした。物理的なサーバを手元に置いてシステムを稼働させることは何となく安心感はあるものの、維持メンテナンスにかかるコストの増大やセキュリティ維持の難しさなど一定の制約が生じることになります。サーバを設ける必要がないクラウドを導入して、インターネット上で在庫を管理できるシステムであれば、こうした障壁をなくして、より幅広い業務支援が可能になるというわけです。


クラウド在庫管理システムの導入メリット

低い導入コスト

クラウド型在庫管理システムは、システムの個別開発や機器の調達を必要としない点で、既存のシステムに対する優位性が非常に高いのが特徴です。そのため、短期間で導入することができます。

さらに、従来型であればシステム稼働に伴う初期費用が数百万円程度、高額になると数千万円レベルに達する一方で、クラウド型は初期費用を数十万円程度に抑えることが可能です。事業者の中には、初期費用無料でサービスを提供するところもあります。

倉庫事業者にとって、システム導入は必要に応じた取り組みとは言え、思い切った投資を迫られる局面でもあります。クラウド型は、こうした「決断」のハードルを下げる効果もあるようです。つまり、コストに見合った生産性の向上につなげることができるのです。

リアルタイムでの在庫状況の把握

倉庫事業者が在庫を管理する上で最も避けたいこと、それは作業実施から管理表への結果反映時に生じるタイムラグ(時間差)による、実際の在庫と在庫データとの間で起きる「ずれ」です。

従来型の在庫管理システムの中には、バーコードを読み取る機器の中にデータを取り込み、作業完了後にまとめてサーバへ取り込む仕組みを採用するもの多く、このずれを解消することが困難でした。クラウド型在庫管理システムであれば、コードなどで読み取った商品・製品の情報を即時にシステム上へ反映する仕組みであるため、タイムラグが発生しません。

その結果、リアルタイム性が大幅に向上し、信頼性の高い在庫管理データを社内で共有できるようになります。システム上の在庫管理データに基づいて安心して仕入先への発注や販売先からの受注を受けることができるのは、ビジネスにおいて大きなメリットであり、倉庫側としても在庫を繰り返し確認する労力と時間を大幅に圧縮することができます。

柔軟なアクセスと拡張性の高さ

クラウド型在庫管理システムは、クラウド上のサーバに在庫情報を保存して運用します。インターネット回線でシステムにアクセスするため、場所を問わず在庫状況の確認や共有を瞬時に行うことができます。社会のあらゆる領域で、クラウド型のシステムが重用視される傾向が強まっているのは、こうしたメリットを生かして業務の効率性を高めることができるためです。

具体的には、メールや電話などによる在庫情報の問い合わせや、他の拠点との情報共有における手間を最低限に抑えることで、業務をより効率化できるのです。近年は、スマートフォンやタブレットなどのマルチデバイスを活用することで、さらに便利なシステムとして認知されるようになっています。

その利便性の高さは、まさに自社でのサーバ管理が不要である点によるものです。インターネット環境があれば利用でき、自社内に情報システム部門がなくても安心して導入できます。また、システム運用のすべてはクラウド型在庫管理システムのサービス運営事業者側が責任をもって実施するため、セキュリティが高く専門的なシステムを安価かつ気軽に利用できるのが特長です。

また、ビジネスの成長に伴う出荷数の増加やシステム利用者の増加など、業務を取り巻く状況の変化に対応した運用プランの変更やオプション機能の追加など、システムの柔軟な拡張が容易なのも、クラウドタイプの強みです。


クラウド型在庫システムの選び方と導入手順

【ステップ1】自社のニーズと適合性を踏まえたシステムの評価と比較

ここ数年における在庫管理システム業界を取り巻く話題と言えば、やはりクラウド型の浸透でしょう。クラウド型在庫管理システムと言っても、実に多様なサービスが登場しており、各社がそれぞれの強みを生かした機能設計に基づいて、バラエティに富んだラインアップを取り揃えています。

もはやクラウド型在庫管理システムの「全盛期」を迎えようとしている感さえありますが、だからこそ大切なのが、導入時における各サービスの価格や機能、特性などの比較検討です。

比較検討を大切に

ここで考慮すべきポイントの一つは、セキュリティとデータ保護の水準です。もっとも、かつてクラウドシステムが登場した直後は、従来のシステムの主流タイプ(オンプレミス型=使用者が管理している施設の構内にサーバ等の機器を設置して運用するタイプ)と比べてセキュリティ面を不安視する声も少なくありませんでした。しかし実際は、ほとんどのクラウドサービスが高度なセキュリティ対策を講じており、またその費用を利用者全体で按分できるため、自社ですべてのセキュリティ対策を講じなければいけない従来のシステムと比べて、安価で高いセキュリティを実現できると評価されています。

【ステップ2】デモンストレーションと運用提案

クラウド型に限りませんが、システムの機能を広告や営業担当者のトークだけで見極めるのは、なかなか難しいのが実情です。その内容が正確なものであっても、導入する現場の特性やニーズ、課題認識によって、適合度合いが変わってくることも少なくありません。

そこで、デモンストレーション(デモ)を通してシステムの「操作性」を肌で体感することが欠かせません。物流関連の展示会では、ベンダー各社が競うようにブースを展開してデモを披露する場面をしばしば見かけます。

さらにクラウド型在庫管理システムを運用しているベンダーの中には、実際に在庫管理の現場を見学した上で、その会社にあった運用を提案してくれる会社もあります。クラウドサービスはその性質上、標準で装備された機能を組み合わせることで、ありとあらゆる業務で活用できるようになっています。言い換えれば、その標準機能の組み合わせ方によって導入後の現場改善の方向性が決まるといっても過言ではありません。システムの機能一覧を見たり、営業担当の説明を聞いたりしただけではなかなか分からない、自社業務と検討中のシステムの本当の相性がこの段階で明らかになっていきます。

【ステップ3】導入計画の策定と実行

クラウド型在庫管理システムのサービス選定の方針を固めるとともに、必要なのが、導入に向けた計画の策定です。先述のとおり、倉庫事業者にとってシステム導入は、決して小さな投資案件ではないでしょう。経営トップを含めた大きなプロジェクトである場合も少なくないはずです。

こうしたシステムの導入にあたっては、投資(償却)と現場整備に向けたソフト・ハード両面での詳細なアクションプランの策定が欠かせません。導入日程を明確化した上で、現場業務のフローやスタッフの陣容・配置を含めた全体的なスキームを描き、それに即して具体的な行動を進めていく必要があります。

導入計画の策定イメージ


成功事例と導入効果

在庫の過不足が劇的に減少、客先の評価もアップ

クラウド型在庫管理システムの導入に踏み切った、ある商社の倉庫現場では、悩みの種だった在庫の過不足が大幅に減少。システムに搭載されていた自動発注機能を活用することで、販売機会を逃すことがなくなり、売上高営業利益率を飛躍的に高めることができました。

社内外のスタッフがリアルタイムで在庫状況を共有できる、クラウド型ならではの強みを発揮し、迅速な対応を可能にした結果、取引先からの評価も向上。新たなビジネスの打診を受けるまでになりました。

迅速な意思決定に直結

適切な在庫管理、それは業界を問わず、ビジネスを成功させる必須条件です。とはいえ、最新の在庫状況を常に把握するのは難しく、あらゆる産業にとって長年の課題だったと言えるでしょう。

在庫管理システムは、こうした課題を解決する機能が注目され、急速に普及しました。人手不足が深刻化する中、より効率性の高い管理業務を実現すべく登場したのが、クラウド型の在庫管理システムだったのです。

在庫は、過多になれば売れ残りのリスクや管理コストが増大する一方で、不足しても顧客満足が低下してしまうリスクがあります。ある製薬企業の倉庫では、クラウド型在庫管理システムの導入により、業務の効率化だけでなく、倉庫空間の節約による有効活用や、スタッフによるヒューマンエラーの削減、さらには品質の管理向上にもつながったといいます。競争激化するビジネス環境下では、迅速な意思決定と顧客満足度向上に大いに寄与しているのです。


おすすめのクラウド在庫管理システム

ロジザード「ロジザードZERO」で在庫管理を最適化

クラウド型の倉庫管理・物流在庫管理システムで新たな市場を築いたロジザード株式会社。独自に開発して2001年にリリースした「Logizard-Plus」、その後継サービスとしてリリースされた「ロジザードZERO」は、国内外の幅広い業界に顧客を有する、WMSの代名詞と言うべき製品として、高い知名度と豊富な実績を誇ります。

ロジザードは、正確な在庫管理を実現する物流のプロフェッショナルとして、倉庫や3PL、そしてフルフィルメント会社など幅広い事業者をシステム面で支援しています。ロジザードの圧倒的な強みとして、インターネット経由でサービスを提供しているIT企業でありながら徹底的にリアル(対面)にこだわった、「営業同行」「荷主獲得支援」「物流情報提供」の3つのサービスが挙げられます。

営業同行で難解なシステム概要も分かりやすく説明

「システム担当者が不在のため、『ロジザードZERO』のことをうまく説明できない」「システム構成が複雑な案件なので、一緒に打合せに同席してほしい」――。こうしたニーズから生まれた営業同行サービスは、事前打ち合わせからシステム説明、アフターフォローまで、ワンストップで導入を支援する取り組みです。

倉庫管理・在庫管理システムと言っても、その概要をシステム面の裏付けを含めて的確に説明するのは至難の業でしょう。こうした業務を支援するサービスは、「ロジザードZERO」の躍進に大きく貢献したと言えるでしょう。

マッチングサービスで荷主獲得を後押し

さらに、荷主獲得支援策として、メーカーや通信販売事業者と3PLやフルフィルメント事業者を無料でマッチングする「ロジザード・マッチン」サービスを展開。物流業務の委託を検討中の企業に対し、「ロジザードZERO」を導入している倉庫を紹介します。

ロジザードは、自社サービスを紹介するセミナーではなく、自社とは直接関係ない物流事業者が知っておくべき最新情報を届けるセミナーや勉強会を開催するほか、国内での物流関連の展示会にも積極的に参加するなど、情報発信を定期的に実施しています。

導入の流れとサポート体制

ロジザードは、電話やホームページの受付フォーム で問い合わせを受け付けています。打ち合わせや電話にて、システム導入の検討の状況を把握し、それを踏まえて専任の担当者から費用感や導入スケジュールを案内するイメージです。

「ロジザードZERO」導入にあたっては、契約から最短で1か月後に導入できるスケジュールを設定しています。カスタマイズが必要な場合は、開発内容によって期間が異なりますが、周辺システムとの自動/API連携や物流ロボット、RFID導入を検討している場合は、問い合わせ時にその旨説明しておくと、その後の打ち合わせがスムーズになるでしょう。

初回の打ち合わせから業務フロー整理、導入支援、さらには現地テスト支援まで、担当者が付いてサポートするため、本格運用まで不安なくサポートを受けられる体制も強みです。市場拡大が続くクラウド型在庫管理システム業界で、圧倒的な存在感を示し続けるロジザード。機能面の充実に加えて、こうした手厚いサポート体制が、「ロジザードZERO」を支えていると言えるでしょう。


まとめ

このコラムでは、クラウド型在庫管理システムの利点や選び方、導入事例まで幅広く紹介してきました。在庫管理はスムーズなサプライチェーンの実現に必要な機能であり、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の主要なテーマのひとつです。将来にわたって持続的な物流体制を構築する上でも、最適な在庫管理を支援するシステムの活用は、もはや不可欠な存在であると言えるでしょう。ぜひ、クラウド型在庫管理システムの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。