メーカー・卸業 ロジザードZERO 通販事業

億を超すリプレイス費用とブラックボックス化したレガシーシステムを刷新。コスト削減と作業時間短縮を実現した老舗メーカー・マドラス様のロジザードZERO導入事例

マドラス株式会社
取締役本部長 岩田 敏臣様
取締役マーケティング部 部長 奥山 純一様

北陸・東海 関東・甲信越

イタリアの靴づくりの伝統と日本人の足に合う機能性、美しいデザインを追求し続け、現在はリカバリーファッションシューズのパイオニアとして進化し続ける、大正10年創業のマドラス株式会社様。製造卸販売を手掛け、BtoB、BtoCのいずれにも自社物流で対応されています。長年、大手ベンダーのオンプレミス型WMSを運用してきましたが、システムのブラックボックス化が経営課題となっていました。さらに保守切れを迎えて膨大なリプレイスコストが提示されたのを機に、クラウドWMS「ロジザードZERO」への刷新を決断。今回は愛知県一宮市にある物流拠点をお訪ねし、マドラス様が物流DXに踏み出した舞台裏と今後の展望についてお話を伺いました。

導入前の課題・導入目的
  • オンプレミス型WMSのリプレイスコストが億単位に
  • その場しのぎ的な改良が重なり、複雑な業務が慣習化
  • システムの拡張性が低く企業成長に対応できない
  • 物流領域のブラックボックス化(アンタッチャブルな領域)
導入後の効果
  • クラウド型WMSに刷新し3割以上のコストダウンに成功
  • 工程の簡素化でシステムがシンプルになり、入出庫にかかる作業時間が20%短縮
  • 作業工程の標準化と柔軟性で、成長戦略を描くための土台に進化
  • 流領域が可視化され、迅速な経営判断ができる体制に

伝統を「次世代の履き心地」へ。戦略的物流拠点であるマドラス社の一宮物流センター

― マドラス株式会社様についてご紹介ください。

岩田様
マドラス株式会社は、イタリアの靴づくりの伝統と日本の熟練の技を融合させ、「本物の履き心地」を追求し続けているシューズメーカーです。2026年に創業105年を迎えました。近年は、2023年に特許を取得した「metaインソール®」を軸に、ファッションと健康を足元から支えるリカバリーシューズを展開するなど、時代の一歩先を見据えたアップデートを続けています。

岩田様
ここ「一宮物流センター」は、当社の物流の要として、国内外の工場から届く膨大な商品を管理し、全国の取引先様、直営店、そしてECのお客様のもとへ送り出す重要な役割を担っています。現在、出荷の約6割が卸(BtoB)、4割が小売(BtoC)で、繁忙期には1日で入荷7,600足、出荷3,500足を超える規模の入出荷があります。お客様が「欲しいとき」にすぐにお届けできるよう、日々正確性とスピードを磨いています。今後は「ものづくりの川上から川下へ」という流れをより鮮明にし、お客様と直接つながる小売の比率をさらに高めていく方針です。

2023年に特許を取得した「metaインソール®」はファッションと健康を足元から支える存在として人気を集めている。


ブラックボックス化したレガシーシステムが変革の足かせに。億を超えるリプレイス費用も大問題

― 2025年からロジザードZEROをご利用いただいていますが、当時、どのような背景で導入を検討されたのでしょうか?

岩田様
最大のきっかけは、20年以上使い続けてきた大手ベンダー製オンプレミス型WMSが保守切れとなり、そのリプレイス費用が1億円に達するという衝撃的な事実でした。長年の利用だったこともあり継続が前提になっていた状況で、私は「このまま戦略なきコストを払い続けてよいのか?」という強い危機感を抱き、あえて3カ月にわたってシステム更新の決定を食い止めました。将来性を考えた際、1億円という多大な費用をかけて我々がやりたい環境が整うのか疑問があったのです。

当時のシステムは基幹システムと密接に紐付いてはいたものの、長年の場当たり的なカスタマイズが重なり、もはや誰も全容を把握できない「ブラックボックス」と化していました。物流部門が総務部の管轄だったこともあり、社内では「在庫スペースがあって物を運ぶ機能があればいい」という認識だったのです。現場や経営層には「今動いているのだから、変える必要はない」という変化を恐れる空気もあって、物流そのものが「アンタッチャブルな領域」になっていました。しかし、拡張性の低さやメンテナンスに要する膨大な時間とコストは、コロナ禍を経て事業の再構築を目指す私たちにとって無視できない課題でした。


複数のパートナー企業がロジザードを推薦。決め手はコストパフォーマンスと「誰とやるか」

― ロジザードとのご縁のきっかけと、導入の決め手について教えてください。

岩田様
「代案を出せなければ、1億円を支払うしかない」。システム更新を止めておくにも限界があります。そこで私が頼ったのは、ECのリニューアルを通じて信頼関係を築いていたパートナー企業の方々でした。各社に「どのWMSが良いか」と相談した際、複数社から名前が挙がったのが、ロジザードZERO。即座に問い合わせて、翌日には人形町のロジザード本社を訪ねました。2023年の夏頃です。

導入の決め手は大きく2点あります。1点目は圧倒的なコストパフォーマンスです。1億円規模と提示されていたリプレイスコストを、ロジザードZEROなら半減できるという明確なイメージが持てました(最終的には、フルカスタマイズの費用を含めても約3割の削減を実現しています)。2点目は、「誰とやるか」という点です。ロジザードの担当者は、私たちの複雑な課題に自分事のように寄り添い、解決策を一生懸命に提示してくれました。誠実な対応に、老舗である当社と柔軟なクラウドパートナーがタッグを組むことに新鮮さと大きな意義を感じました。

他社比較に時間を費やすよりも、信頼できるパートナー企業が推奨する座組でスピーディーに進めよう。この時の決断がなければ、2025年2月の稼働というタイトなスケジュールは到底実現できなかったと思います。

「専用環境」の構築で、膨大なSKUと独自のピッキング運用を最適化

― ロジザードZERO導入にあたり、標準プランではなくフルカスタマイズのサービスをご利用いただきました。導入に関わる印象的なエピソードがあれば教えてください。

岩田様
当社の物流は商品点数、物量が膨大で、かつ入出荷の波動も激しいため、ロジザードZEROをベースに当社の運用に合わせた「専用環境(フルカスタマイズ)」の構築を選択しました。物流センターは当社の心臓部でもあり、現場の混乱を避けるため運用環境を大きく変えたくなかったという背景があります。

奥山様
ECへの対応はほぼ標準機能で可能でしたが、卸や自社店舗への配送、つまり大量データの処理に関しては開発が必要でした。具体的には、まず入荷業務において、国内外の工場から届く商品の入荷データをSKU単位に分解・計上する専用機能を開発し、現場の作業がスムーズに流れるように改修しました。出荷面でも、販売管理システムの「アラジンオフィス」から連携されるデータを翌朝に一括バッチ編成し、送り状を間口(作業台)ごとに自動仕分けする独自のペーパーレスピッキング運用を構築しています。

相談当初、ロジザードから、「物流はルールを決めてやっていく必要がある。流れを標準化したほうが効率的」とアドバイスされたことが印象に残っています。実は、長年取引先様からの細かな要望に応え続けた結果、目的不明のまま形骸化していた「慣習的な業務」が、物流のボトルネックになっていたということが分かりました。これらを整理し、システム側に寄せて作業工程をシンプルにしたことで、業務効率化が図れました。ロジザードZEROは、アラジンオフィスをはじめとする周辺システムとの連携実績が豊富で、複雑なカスタマイズも安心してお任せすることができました。

マドラス様の業務フローに合わせて構築した専用の管理画面。


コスト3割削減と作業時間20%短縮を実現。物流が経営戦略を支える「ベースライン」へ

― ロジザードZEROの導入で得られたメリット、導入後の変化について教えてください。

岩田様
ロジザードZEROの導入により、物流現場の業務効率は確実に向上しました。データの処理速度が上がり、打ち込みや締め、転送といった一連の処理が簡素化されたことで、入出庫にかかる時間は全体で約20%削減できています。
懸案だったコスト面についても、システム更新に関わる総コストをオンプレミス型の更新と比較して3割以上削減することができました。さらに、ハンディターミナルの活用による完全ペーパーレス化を実現したこと、現場の作業実績がデータとして可視化されるようになったことも大きな変化です。

奥山様
現場のスタッフからも、導入後に効率が上がったという声を聞いています。以前のブラックボックス化していたシステムとは異なり、クラウド化されたことで、何かトラブルがあった際もロジザードの迅速なサポートを受けられるようになりました。このサポート体制があることによる精神的な安心感も、運用側にとっては大きなメリットです。

岩田様
何より、これまで「アンタッチャブル」だった物流領域が、次の戦略を練るための「ベースライン」に変わったことが最大の収穫です。将来的なビジョンを描くにあたり、実現するための土台が整ったと考えています。

周辺システムとの高い親和性と、ユーザーに寄り添う伴走姿勢を評価

― ロジザードZEROに対する評価をお聞かせください。また、今後期待する機能はありますか?

岩田様
ロジザードZEROのメリットは、多くのSaaSや周辺システムとの連携実績が豊富な点にあると思います。システム全体の相関図を描く際も、非常にスムーズに理解が進みました。また、機能面だけでなく、ロジザードの「姿勢」も大きな魅力です。「こうしたい」という希望があっても、それを具現化する道筋を描くのは容易ではありません。ロジザードは私たちの要望を否定せずにまず受け止め、一歩でも二歩でも前に進めようと不器用ながらも一生懸命に考えてくれます。大手ベンダーでは要件を増やすほどコストが膨らみがちですが、ロジザードZEROはその点でもコストパフォーマンスに優れています。
今後、最も期待しているのはRFIDとの連携です。将来的には物流センターだけでなく、実店舗のバックヤードや棚卸業務にもRFIDを導入したいと考えています。

奥山様
RFIDの導入によって、店舗スタッフが棚卸などの内部管理に費やす時間を、1秒でも長く「お客様と向き合う時間」に振り分けたいのです。靴の販売はコンサルティング的な側面が強く、お客様との対話こそが価値を生むからです。顧客体験を向上させるためにも、バックヤード業務の時短につながる機能の充実に期待しています。


現場への深い理解と、迅速なサポート、「物流を止めない」安心感

― 使い勝手やサポート体制、セキュリティへの姿勢についてはどのように評価されますか?

岩田様
導入の早い段階からロジザードのメンバーに一宮物流センターへ何度も足を運んでいただき、現場の状況に合わせた改良を繰り返すことで、スムーズな移行を実現できました。現場での使い勝手については、稼働後も不明点や何か問題が発生した際に迅速に連絡が取れ、常に前向きな改善に尽力してくれるサポート体制に非常に満足しています。

奥山様
今回のプロジェクトが成功した大きな要因は、当社のシステム担当者とロジザードの担当者が密に連携し、強固な信頼関係を築けたことにあると思っています。特に、旧システムの担当者が退職してブラックボックス化していた複雑な仕様についても、両者が粘り強く解析し、アイル(アラジンオフィス)などのパートナー企業とも協力して解決に当たってくれました。
また、クラウドサービスへ移行したことで、常に最新のセキュリティや機能にアップデートされる環境を手に入れたことは、長期的な安心感につながっています。

物流を「コスト」からビジネスの「心臓」へ。顧客体験を最大化する強固な物流基盤構築を目指す

― 今後の展望をお聞かせください。

岩田様
今後の展望は、小売へのシフトをさらに加速させたいと思っています。単なる「靴の販売」に留まらず、オムニチャネルを整備し、お客様に最高の顧客体験を提供することを目指しています。例えば、店舗で試した「metaインソール®」をECで注文する、ECで注文した商品を店舗で受け取るといったフレキシブルな体験を当たり前に提供できるよう、物流基盤をさらに強化していきます。
また、銀座店のリニューアル成功を皮切りに、多店舗展開やリカバリーシューズによる健康支援事業の成長も視野に入れています。その基盤となる物流において、戦略的な議論が社内で活発に行えるようになったことは、私たちにとって大きな一歩です。
物流を単なる「コスト」ではなく、ビジネスを動かす「心臓」として捉え、今後は蓄積されたデータに基づいたスピーディーな経営判断を行える体制を整えていく方針です。

― 最後にロジザードへの期待など、ひとことお願いいたします。

奥山様
今回の導入は、物流がもっと光を浴びて活躍できる環境への第一歩になりました。今後はRFIDの活用を推進し、倉庫のみならず全社的な効率化を目指します。私たちの目的は、効率化によって生まれた時間を1秒でも長く「お客様と向き合う時間」に充てることです。靴業界でのRFID導入はまだ先行事例が少ないからこそ、私たちが先駆けて実現し、顧客体験の向上で業界をリードしていきたい。ロジザードには、引き続きそのための伴走を期待しています。

岩田様
物流が止まれば商売は成り立ちません。でも、物流は実店舗からは見えにくく、社内でも思考が止まりがちな領域です。私もECをやっていなければ、ロジザードとの出会いはありませんでした。企業成長のドライブにもボトルネックにもなる物流を、もっとわかりやすくしたい。ロジザードと共に可視化、言語化し、会社にとってどれほど重要な役割を果たしているかを伝えたいです。私自身が「ロジザードの良さを広める語り部」になりたいと思っているほどです。マドラスが次の100年に向けて歩みを進める中で、単なるシステムベンダーではなく、共に事業を成長させる「パートナー」としてこれからもよろしくお願いします。

取材日:2026年2月3日


会社概要

大正10年創業。イタリアの靴づくりの伝統を踏襲しながらも、日本人の求める快適な履き心地と機能性、そして美しいデザインを追求し続けてきました。100年以上続く靴づくりのノウハウは、今もなお受け継がれ、進化し続けています。さらに、本物の履き心地にこだわり誕生した唯一無二の「metaインソール®」は、ファッションと健康を足元から支える存在です。madrasはリカバリーファッションシューズのパイオニアとして、新しい価値を創造し発信していきます。

社名 マドラス株式会社
代表 代表取締役社長 岩田 達七
設立 1921(大正10)年5月18日
本社所在地 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄二丁目15-6
一宮物流センター 〒491-0364 愛知県一宮市萩原町中島字流3-1
事業内容 革製履物製造卸販売
HP https://www.madras.co.jp/