COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
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在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
株式会社YEデジタル 浅成直也氏 × ロジザード株式会社 亀田尚克 対談

物価高騰や人手不足、さらに「2025年の崖」による既存システムの老朽化など、大きな課題に直面する物流業界。この喫緊の課題に対し、倉庫自動化システム(WES)のトップシェア※1を誇る株式会社YE DIGITAL(以下、YEデジタル)と、クラウド型倉庫管理システム(WMS)のトップシェアを誇るロジザードが、2025年にタッグを組みました。YEデジタルが提供する「MMLogiStation(以下:MMLS)」と「ロジザードZERO」の標準連携により、必要な自動化設備をオプションのように選択でき、倉庫自動化への一歩を踏み出しやすい環境を提供します。今回は、YEデジタルの浅成様をお迎えし、この連携が生まれた背景や物流現場にもたらす具体的なメリット、さらには社会的な価値について、弊社亀田とともに語り合いました。
※1 デロイト トーマツ ミック研究所「スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望2024年度版」より

亀田: 2025年、ロジザードは業界No.1を誇るYEデジタルのWES(倉庫自動化システム)との連携をリリースしました。倉庫自動化の推進を通じて、物流課題の解決の一助となることが目的です。本日は、この連携に尽力いただいたYEデジタルの浅成様とともに、我々が目指す取り組みについて話したいと思います。浅成さん、まずWESとは何か、どのような経緯で誕生したのか、そのあたりからお話しいただけますか?
浅成氏: WESは「Warehouse Execution System」の略で、その名の通り、倉庫内に設置されたさまざまな自動化設備や機器同士をスムーズに連携させ、倉庫全体のオペレーションを統合的に制御するシステムです。最近ではようやくその存在が広く知られるようになってきましたが、MMLSを提供開始した2021年頃までは業界内でもほとんど認知されていませんでした。
WESが必要とされるようになった背景には、自動化設備、特にマテハン機器とWMS(倉庫管理システム)との連携が容易ではないという課題があります。これらの機器をWMSと接続するにはカスタマイズが必要で、開発には大きな労力とコストがかかります。中には数千万円規模になるケースも珍しくありません。しかも、自動化機器は次々と新しいものが登場します。
私自身、企業から依頼を受けてカスタマイズ対応をしていた際、このやり方では限界があると痛感したことが、WES開発のきっかけでした。当社はもともと制御技術に強みがありますので、WMSにつなぐ際のハブとなる制御システムを受け持とうという発想から生まれたのがWESです。
亀田: ありがとうございます。実はロジザードにとっても自動化対応は常に「宿題」としてありました。当社は、ロボティクスによる省人化・自動化の観点から、WMSとの連携の重要性を早くから認識しており、ロボットやマテハンとの連携に積極的に取り組んできました。ただ、物流現場における自動化は非常に進化が早く、次々と新しいロボットや機器が登場します。私たちはWMSの「本業」で開発すべき機能が山ほどあり、すべての自動化設備に個別対応するのは現実的ではありませんでした。すべてのロボットとの標準自動連携を自社で開発し続けるのは困難ですし、個別のカスタマイズに追われることも、クラウドサービスの在り方として違和感があったのです。
亀田: 実は私、当初はWESの存在を知りませんでした。浅成さんとご一緒した大手クライアント様の案件で初めて知って、びっくりしたんです。我々がつなぐ先はYEデジタルさんのWES一つだけで済み、その先にある自動化設備については意識しなくていい...。「そんなシステムがあるのか!」と衝撃を受けました。
浅成氏: あの案件では、当社がマテハンメーカー様とお客様の間に入り、WESによる接続を推進しました。亀田さんからも「YEデジタルが入ったことで、WMSの立ち上げがスムーズに進んだ」と伺い、マテハンメーカー様、ロジザード、そして当社の3社で、お客様に対してしっかりと価値を届けられたという手ごたえを感じました。この成功体験が、まさに今回の連携強化のきっかけです。
亀田: 当社からすると、「ぜひご一緒にお願いできませんか」という話ですが、実際には浅成さんからお声がけいただいたんですよね。
浅成氏: はい、そうなんです。当社は、自動倉庫制御の分野で約40年にわたって技術を培ってきましたが、そこにWMSのノウハウが加われば、当社の技術をお客様のニーズにより的確に応える形にできるのではないか、もっと多くの現場で当社の技術を活用いただく機会が広がるのではないかと考え、ロジザードの金澤社長にご相談しました。
その際、ロジザードが2000年頃、まだ高速通信回線が普及していない時代からすでにクラウドWMSを手がけていたと聞き、「え? ADSLの時代から!?」と私も衝撃を受けました(笑)。その先見性、そして1,800を超える(※取材時の公表値)物流現場で稼働しているという実績。さらに、中小企業だけでなく大規模企業にも対応するWMSであると分かり、「物流システムに必要なものを一緒に作りませんか」と私からアプローチさせていただきました。
亀田: お話を伺っていくうちに、YEデジタルさんと当社は価値観が近いと感じました。ロジザードの社訓には、「連鎖連結」という言葉があります。これは、すべてを自社だけで完結させようとするのではなく、つながりを大切にしながら顧客の課題解決に取り組み、サービスの普及に貢献していこうという考え方で、金澤もよく口にする言葉です。YEデジタルさんのアプローチはこの考え方にまさに合致しており、「物流業界の発展のために力を合わせよう」と意気投合したのを覚えています。
浅成氏: かつては、1社でシステム開発を完結できる時代もありましたが、今はそうではありません。現在のお客様の要望は複雑で高度になっており、1社だけですべてに応えるのは難しい状況です。だからこそ、互いの得意分野を持ち寄りながら一緒に仕組みを作り上げていく必要があると感じています。そうしなければ、物流業界のお客様に本当に求められる機能や価値を届けることはできないと思います。

亀田: ロジザードZEROに自動化設備との連携機能が標準装備されることは、ユーザーにとってメリットが大きいと思います。お客様はWESとつなげておけば、WESが個々の自動化設備との間で"自動翻訳機"のような役割を果たしてくれるので、さまざまな自動化設備をオプションのように選び、段階的に導入できるようになります。「カスタマイズ不要」で、自動化設備の「スモールスタート」ができる。これは、コスト面で自動化に躊躇していたお客様にとって、大きな魅力になりますね。
浅成氏: おっしゃる通りです。例えば最初に、自動梱包機のように生産性向上の効果がはっきり見える設備から導入するケースがあります。このときWESを介して接続しておけば、2機種目、3機種目の自動化設備を追加する際に、スムーズに拡張できます。
亀田: これまで、自動化の目的は主に効率化や生産性向上でした。でも昨今の傾向として、「人を確保できない」リスクにどう向き合い事業を継続するかという視点から、自動化や省力化への関心が高まっていると感じています。人手不足は一層深刻化していて、自動化対応が遅れれば事業継続そのものに影響を及ぼしかねません。こうした背景からも、将来的な拡張を見据えてスモールスタートできる意義は、大きいはずです。
浅成氏: 同感ですね。WESを入れておくことは、コスト面でも大きなメリットがあります。確かに、自動梱包機1機種だけならWMSと直接つなぐ方が安価に済むかもしれません。しかし、2機種目以降の設備を導入する段階になると、WMS側で対応すべき作業が増え、カスタマイズ費用も高額になりがちです。自動化設備を拡張するビジョンがあるなら、最初からWESを通して接続しておく方が、結果的にコストが抑えられて効率的です。
また、開発期間の短縮という点でもWESは有効です。プラグインを活用していただけますから、連携システムの開発期間を例えばこれまで約6~8カ月かかっていた開発を、4~5カ月で完了させることが可能です。開発期間が短くなればそれだけ早く稼働を開始でき、コストも抑えられます。

亀田: 浅成さんは、WESをよく「オーケストレーション」と表現されますね。物流現場全体が最適な状況になるように、自動化設備を制御する"頭脳"がWESであると。
浅成氏: そうです。全体最適には、倉庫全体のオペレーションを俯瞰しながら、自動化設備を同期制御できる"頭脳"が必要です。これこそがまさにWESの肝、本質で、私たちが担う役割になります。
私は以前、マテハンを制御するシステムを開発しながら、WMS側の改修を並行して手がけたことがありました。ところが、WMSの改修作業がとんでもないボリュームで、両方を同時にこなすのは無理だと痛感しました。それ以来、WMSが本来の業務管理に専念し、自動化設備の制御はWESに任せるという役割分担で、物流全体の最適化を目指すべきだという考え方に切り替えました。
亀田: WMS側から見ると、ロボットとは個別に会話(連携)できますが、どうしても"個別最適"の域を出ません。本来目指すべきは"全体最適"です。でも、複数ベンダーから異なる自動化設備を導入すると、それぞれが独自の最適化を行うため、結果的に倉庫全体では非効率なフローが生まれてしまいます。我々も、事業成長したお客様からのご相談で全体最適を目指そうとしましたが、自社内にはノウハウがなく壁に突き当たりました。
お客様から「どうにかしてほしい」と言われても、自動化設備全体を統合的に制御する"オーケストレーション"は、WMSの領域では対応しきれません。だからこそ、制御のプロである御社に任せられることは、お客様にとっても大きな価値になると思っています。
浅成氏: ありがとうございます。WMSとWESが連携することで、例えばマテハン上を自動搬送されている商品など、WMS単体では把握が難しい在庫のステータスも管理できるようになります。WMS単体では難しかったことも、我々と組むことで可能になる。そういった新たな付加価値を、これからも一緒に提供したいですね。
亀田: 今後の予定や展望についてお聞かせください。
浅成氏: 当社では今後、プラグイン形式で接続可能な自動化設備の対応機種を、継続的に拡大していく計画です。2025年7月までに12機種への対応を予定しており、2027年頃までには30機種まで拡大することを目指しています。効果や評価などを総合的に判断して、ベンチャー企業が開発する新しいマテハン設備も積極的に取り込んでいく方針です。
将来的には、需要予測や在庫管理の最適化といった、これからの物流を支えるデータ活用にも取り組んでいく考えです。連携の中ではまだ具体化はしていませんが、当社の意思決定支援ダッシュボード「Analyst-DWC」を活用し、WESだけでなくWMSのデータも統合的にクラウド基盤で可視化することで、データ活用により大きな付加価値をお客様にご提供できるのではないかと考えています。お互いが同じ目的でデータ基盤を使うことで物流現場に新たな価値を生み出せると期待しています。
亀田: 当社もデータ活用には強い関心を持っています。特に在庫データは経営に直結する重要な情報ですので、これもYEデジタルさんのお知恵を借りながら、お客様にとって有益な形で展開していきたいですね。
浅成氏: 展望という点では、人手不足の危機感から自動化が進めば、物流現場の重労働が軽減され、「クリーンでホワイトな職場」へとイメージを変えていけるかもしれません。そうなれば、高齢化が進む社会でも働き手の確保につながる可能性があります。
亀田: 当社にとっても、自動化対応で課題だった「自動化設備との連携機能」がメニューとしてご提供できるようになったのは大きな進展です。今後は、「YEデジタルさんが対応している設備なら、何でもご相談ください」と、自信を持ってお客様にご案内できます。人手不足で現場が回らず、成長のチャンスを逃しているお客様でも、スモールスタートであれば挑戦しやすくなります。
浅成氏: パッケージ型でお客様のニーズに応えているロジザードZEROに、実績あるマテハンとの連携を組み込むことで、物流システムの品質向上と安定稼働、クリーンな職場環境の実現を通じ、お客様の事業成長を物流面からしっかりと支えていきたいです。これだけの機能を、パッケージの世界で実現しようとする試みは、これまでになかったと思います。それだけに、多くのお客様に期待していただける取り組みだと確信しています。
亀田: 「1社ですべてやる」という従来のやり方から脱却し、制御のプロと在庫管理のプロが連携することで、お客様に最適なソリューションを提供する。そんな新しいビジネスモデルが誕生しました。「自動化に興味はあるけれど、何から始めればいいのか分からない」というお客様にも、一歩を踏み出していただける仕組みが整ってきました。大手企業だけでなく、中堅・中小企業の皆さまも、倉庫自動化を現実的な選択肢として検討いただける環境になったと思います。
これからも、悩みを抱える物流現場の課題解決に向けて、タッグを組んで取り組みましょう。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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浅成直也(あさなりなおや)
株式会社YEデジタル 物流DXシステム本部 副本部長 / MMLogiStation プロダクトオーナー
スマートロジスティクスを推進する技術部長かつ事業拡大のマーケティングを牽引する。EC需要拡大の一方で、人手不足に悩む物流業界の課題解決のために、スピーディーに倉庫自動化を実現する倉庫自動化システム「MMLogiStation」を企画し、製品化。物流業界で培ったノウハウを活かし、各マテハンメーカーの自動化設備との連携も進め、さらなる機能向上に努めている。
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亀田尚克(かめだなおよし)
ロジザード株式会社 取締役営業部長
繊維商社、大手システム会社勤務を経た後、在庫管理分野のASPという事業スタイルに魅力を感じ2006年ロジザード株式会社入社。通販物流を中心として物流現場への訪問数はゆうに2,000に達する。徹底した現場主義によりサービス会社としてのロジザードのスタイルを確立する。在庫管理システムをもっと世の中に普及させたいという情熱のもと思索と行動の日々を送る。