COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/09/02 インタビュー・見学システムメーカー・製造業海外

取材:海外進出企業の強力な味方! クラウド型ERP『multibook(マルチブック)』とは?

海外拠点向けクラウド型会計・ERP『マルチブック』の特長

人口減少が進み経済成長が頭打ちを続ける中、生産性の向上や新規市場を求めて、海外進出を図ろうと考える日系企業は少なくありません。しかし、日本でのビジネス感覚のまま海外で事業を起こそうとしても、次々に現地特有の難題が持ち上がるもの。本社の目が届きにくい海外拠点において、経営・会計管理は、極めて重要です。株式会社マルチブックが提供する「multibook(マルチブック)」は、内部統制のとれた海外拠点管理を可能にする、日本製のクラウド型会計・ERPサービスです。その特長を、CEOの渡部様、CPOの福井様に伺いました。海外進出を検討している企業、すでに進出して会計管理に課題をお持ちの企業様は必見です。

海外市場に挑戦する企業をシステムで支援するマルチブック

―はじめに、御社についてご紹介ください。

福井氏:
当社は、海外拠点向けに特化したクラウド型会計・ERPサービスの「multibook」を提供しています。2000年の創業時から、グローバルERPの導入コンサル事業を通じ、日本企業の海外進出を支援してきました。その中で、海外の中小規模の現地法人にフィットするERPや会計ソフトがないことに気付きました。大規模拠点用の高額なERPか、逆に十分な機能や品質が伴わない安価なもの、ローカルソフトしかなく、グローバル拠点を管理できるリーズナブルなシステムがなかったのです。それならばノウハウのある自分たちで創ってしまおうと、2015年に当時登場して間もないAWSを利用し、クラウドで利用できるERPを開発しました。それが「multibook」です。

渡部氏:
我々のミッションは、「海外に挑戦する企業をテクノロジーで支援し、海外拠点の経営管理をもっともっと簡単にする」こと。日本企業が成長を目指すうえで、海外進出は避けて通れない時代です。しかし、現実には言語の問題や日本独特の経営管理の習慣、コミュニケーションスタイルの違いが、海外におけるビジネス成長の壁になっていることは事実です。multibookは、こうしたギャップを解消するため、世界のあらゆる国で会計システムを「共通言語」として利用できるようにしよう、という発想で開発されました。
その特徴は、国別機能を標準で実装し、毎回システム会社に個別要件で開発させる無駄をカット。業界最速となる2週間の短期導入を実現することで、お客様の時間と資金の負担を最小限にし、ERP業界の当たり前を変えることです。やるべきことが多く変化の激しい海外拠点の立ち上げ時には、社内の管理業務の整備が後回しになりがちです。しかも、SIerを介したシステム開発・構築は、IT業界の構造的な問題もあり、高額で時間がかかります。multibookは、日本発のシステムですが、この業界の慣習にとらわれません。徹底的な管理により月次の機能更新が可能なため、システムそのものが毎月成長し、お客様は常に最新のシステム環境を利用することができます。まさに企業の成長に資するシステムと、自信を持っています。


30カ国以上で利用されているクラウド型ERP「multibook」の5つの特長

海外拠点管理のあらゆる課題を解決「マルチブック」

―「multibook」の概要をご紹介ください

渡部氏:
「multibook」は、グローバル展開する大企業から、これから世界に挑戦するベンチャー企業までを支援する、海外拠点の経営管理に特化したクラウド型会計・ERPサービスです。「見える化・業務効率化」、「内部統制・不正防止」、「連結決算早期化」を実現させるクラウドサービスの開発・販売を進め、現在、世界30カ国以上、上場企業の子会社を含め、海外現地拠点約250社を超えるお客様にご利用いただいています。

導入パターンは大きく3つあります。1つめは海外での拠点立ち上げのタイミングです。2つめは複数拠点を抱える企業の見える化対応、連結決算早期化対応を検討した際に、導入システムはそのままにクラウドで「multibook」の見える化機能・マネジメントコックピット機能を導入するケースもあります。各拠点は、仕訳情報を指定のフォルダにアップロードするだけで、日本本社からは拠点の状況がリアルタイムで把握できるようになります。Excelファイルをメールでやりとりするなどの無駄がなくなり、業務が効率化されます。3つめは、拠点によって使い方を変えて導入するハイブリッド利用です。各拠点の月次決算データや明細、在庫残高などを「multibook」を通じて見える化することができます。これにより、日本人拠点管理者や日本本社はリアルタイムに、日本語で現地の業務処理内容を確認できるようになり、内部統制強化と業務効率化を実現します。

―海外拠点管理に特化したERPとは、どんな特長があるのでしょうか?

福井氏:
海外拠点管理の課題は多岐にわたりますが、特に頭を悩ませるのは、言語問題、現地会計・税務要件対応、外貨建て残高管理、基幹業務のブラックボックス化の問題だと思います。「multibook」は、こういった課題を解決するために、次の5つの大きな特長を備えています。

特長1:多言語・多通貨、複数帳簿に対応

日本語、英語はもとより、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語など12カ国語での画面表示が可能で、日本人、ローカルスタッフ共にストレスなく使えます。また、世界各国の通貨で仕訳計上、残高管理 が可能です。日本本社では、グローバル各国の状況を日本語でリアルタイムに確認することができます。

特長2:複数拠点の情報を一元管理

海外拠点すべての情報を、一元管理することができます。グループ勘定科目(連結決算用や管理会計用の勘定科目体系)を設定することが可能で、連結決算や管理会計のために、各拠点の財務諸表を手作業で変換・再集計する必要はありません。また、会計だけでなく、在庫の情報もリアルタイムに把握可能です。

特長3:内部統制強化、経営管理を実現

ローカルスタッフによる、ローカルソフトでの運用を容認すると、業務がブラックボックス化、不正が発生するリスクが高まります。これを防ぐのが、日本語による見える化と権限設定、承認機能です。「multibook」は、すべてを日本語でリアルタイムに見える化し、ユーザーの権限設定や各伝票承認機能で内部統制の強化が図れます。また各拠点を横並びに比較できる機能を有し、「マネジメントコックピット」と呼ぶ経営ダッシュボード機能で、海外すべての事業・拠点の"今"を常に見ることができます。

特長4:各国ローカル要件に対応。海外拠点の記帳ソフトとして利用可能

各国の会計・税務要件に対応する機能を持っています。

特長5:各種システムとの連携機能

連結決算システムや生産管理システムなど、各種管理システムとの連携機能を用意しています。


海外倉庫における正確な在庫状況を元にした経営・会計管理の実現

―2022年5月に、当社の「ロジザードZERO」と連携を開始しました。その狙いは?

福井氏
「ロジザードZERO」はクラウド型WMSのトップブランドであり、海外での実績も多いことから、海外拠点における適切な在庫管理と経営管理を望むお客様の声に応えることを目的に、このたび連携を実現しました。

理論在庫を扱う基幹業務システム「multibook」に、ロジザードZEROが管理する実在庫データを反映することで、クラウド上でリアルタイムかつ正確に在庫を管理することを可能にします。特別な開発を必要とせずに、双方のデータをやり取りできますので、どの拠点の倉庫内のどこに・何が・何個・どのような状態で保管されているかを、「multibook」および・「ロジザードZERO」上で簡単に把握できるようになります。

「multibook」の特長を3分程度の動画に分かりやすくまとめましたので、ご覧ください。


ガバナンスの利いた管理システムの導入は、海外戦略の重要な要素

―最後に、海外に進出する日系企業にメッセージをお願いします

渡部氏
お客様の進出形態が今、大きく変化してきていることを実感しています。従来型の製造拠点としての「コストありき」の海外進出から、海外で新たなマーケットを作り出す「攻め」のグローバル戦略への転換です。売上や利益を求める海外進出は、現地経営状況に基づく決断と実行スピードが、その成否を分けることになるでしょう。
しかし現地での営業活動を優先するあまり、管理業務の目配りがおろそかになっては、企業活動の足元がおぼつきません。ガバナンスの利いた管理システムの導入は、海外での事業戦略を不安なく進めるためにも大変重要なインフラだと思います。とかく欧米企業に比べて日本企業はこの管理が後手になり、あとで大きな問題となって大きな負担を強いられる傾向にあります。
我々の強みは、圧倒的なスピード感です。クラウドならではの迅速な機能改善、毎月の継続的なアップデートで、お客様事業とその成長を強力にサポートします。また、費用もアカウント(ID)単位で、保守費用を含む月額7万円~と大変リーズナブルです。拠点ごとの規模感や進出国の状況に応じて、当社がサポートできる分野は大きいと思っています。ぜひお気軽にご相談ください。


まとめ

海外での事業展開を検討中の方、すでに海外拠点があり会計業務や拠点管理に課題を感じている方、ローカルの内部不正に頭を抱えている方に向けて、課題解決のヒントとなる有意義なお話を伺えました。「multibook」は、「ロジザードZERO」とも連携しています。ガバナンスの利いた日本製のクラウド型ERP「multibook」についてご興味をお持ちの方は、ロジザードまでどうぞお気軽にご相談ください。

渡部学氏 プロフィール

株式会社マルチブック 代表取締役/CEO
半導体商社株式会社マクニカにて経理・コーポレートIT等の責任者を経て、海外の買収先のPMIに従事、その後アジアパシフィックのコントローラーを担う。帰国後は独シーメンス社他のCFOとしてグローバル企業のリーダー職に従事。2019年、株式会社マルチブックにCFOとして参画しM&Aによる資金調達をリード。2021年CEO就任。20年以上のファイナンス分野での経験から、買収企業の制度/システム統合、グローバル資本再編による税務、クロスボーダーのオペレーションを得意とする。


福井和男氏 プロフィール

株式会社マルチブック 取締役/CPO
関西学院大学商学部を卒業後、1993年、株式会社ビジネスブレイン太田昭和に入社。10年間、会計システム開発プロジェクトに参画した後、IBMビジネスコンサルティングサービス、IBMに出向し、10年間、SAP導入プロジェクトに参画。2012年、マルチブック(旧社名:ティーディー・アンド・カンパニー)に入社し、SAP導入プロジェクト参画、フィリピン拠点CFOを経て「multibook」事業担当となる。2021年7月、CRO、2022年7月、CPOに就任。25年以上にわたり、会計xERPの専門知識を有しマルチブックにおいて会計xERPx「グローバル」の新たな軸を追加し企業の海外進出をサポートしている会計プロフェッショナル。


会社概要

会社名:株式会社マルチブック
所在地:〒141-0031東京都品川区西五反田1-1-8 NMF五反田駅前ビル5階
設立:2000年9月
事業内容:海外経営への挑戦を身近に簡単にするクラウド会計・ERPサービス等の企画・開発・販売
https://www.multibook.jp/