COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

2022/07/12 DX物流業務の効率化運輸業・倉庫業(3PL事業者)

物流DXとは?急務となった背景とWMSのデータ活用

物流DXとは?急務となった背景とWMSのデータ活用

DX(Digital Transformation)は物流業界でも注目されており、「物流DX」と呼ばれています。皆さまは「物流DX」と聞くと何を思い浮かべますか。また、「物流DX」は進んでいますか。
コロナによりEC市場が急成長して商流はDXが進みました。しかし、物流は相変わらず、という企業様も多いはず。なぜ物流DXは商流のように進まなかったのか。進めるには何が必要なのか、物流DXに詳しい物流コンサルタントの株式会社LiNKTH(リンクス)代表取締役小橋 重信様にお話をお伺いしました。

物流DXとは

物流がデジタルによって変革を起こすとは、単なるデジタル化(デジタイゼーション)ではなく、ビジネスモデルを変革することです。国土交通省では、物流DXは「物流分野の機械化」と「物流のデジタル化」により、「物流における標準化」を目指すものとしており、有力なツールとしてロジスティクスドローンや、トラックの隊列走行が挙げられています。

「DX」を検討した時、自社物流であれば本業のビジネスであり、3PL事業者であれば荷主企業のビジネスの変革にどう物流として絡むのかを考えるでしょう。物流DXとひとことで言っても、保管物流の領域だけでなく、関係する事業部、さらには複数の企業を含めたサプライチェーン全体を広い視野で捉える必要があります。
物流DXを実現させるためには、これまでの物流=コストセンターといった考え方とは全く異なる、物流=投資という考え方を会社全体で持つべきです。物流を強化して、省人化・自動化・無人化を実現して、今の時代にあったビジネスへと変革させていくことが大事です。


物流DXが急務となった背景

大きく3つあります。
まず挙げられるのは人手不足、人材不足でしょう。物流業界の方であれば「2025年問題」も聞いたことがあるのではないでしょうか。働き方改革では、長時間労働の解消や時間外労働の割増賃金率の引上げなどが掲げられています。この問題はトラックドライバーだけに限られたことではなく、労働人口の減少や、高齢化によって加速する物流現場においても同様です。現状の働き方ができなくなり、このままでは今までの業務がこなせなくなってしまう事業者もいるのでは、と思います。DXにより、省人化を実現させてロボットにできることはロボットに任せて、人が必要な仕事に人員を確保する必要があります。

そして、コロナでモノの流れが大きく変わり、従来のビジネスモデルが変革したことが2つめの背景です。特にECなど商流のデジタル化が進む中で、物流は相変わらず、人海戦術の労働集約型ビジネスから抜け出せていないように見えます。流通は商流と物流に分かれますが、その商流である小売りと同様に倉庫現場などの物流もドラスティックに変化しても良いと思います。

最後の3つめは、地球規模の課題である温暖化などのサスティナブルの問題解決に貢献することが重要視されるようになったことです。物流DXとすぐに紐づかないかもしれませんが、本来であれば温暖化やサスティナブルに一番貢献できるのはモノを運んだり保管したりする「物流」だと思います。物流が先頭にたって解決にむけて動くべきです。

例えば、ECで運ぶモノが増えた時、ダンボールのごみの量も増えることは想像がつきやすいと思います。そこで、一部のアパレルメーカーではお客様の同意のもと、返品で届いた使用済みのダンボールを配送に使うといった取り組みも始まっています。
また、食品業界では、食品の賞味期限における1/3ルールを2/3ルールに変える取り組みも始まっています。納期を長くして廃棄の問題を解決、さらにリードタイムが長くなるため配送も余裕がでます。
投資家の目があることもあり、事業継続のためにもエコやサスティナブルな取り組みは企業にとってとても大事なものとなっています。


日本の物流DXの壁

受け身の物流、部分的なデジタル化

物流を倉庫の中やトラックなど配送だけで考えると、できることが限られてしまいます。例えば、倉庫での作業において「デジタル化によりペーパーレスでの運用ができる」とした場合、ペーパーレス化のメリットは何でしょう。資源への配慮や、ピッキングの効率化、という面があるかと思いますが、そこだけの効率化です。物流全体の効率化とは言えません。
サプライチェーンで考えると、配送や返品といった静脈物流も「物流」です。倉庫だけ、配送だけ、ではなく、全体を俯瞰して何ができるか、を考えてみてください。例えば、物流側でもっている情報を活用して、モノの流れや生産・調達の流れをより円滑にすることで、作業の生産性だけでなく、必要とする在庫数も抑えることができます。物流は受け身の要素が多いため、「ビジネスを変革する」という意識が薄くなりやすいかもしれません。ただ、役に立つことに気づいていないだけで、物流を効率化したり物流の情報を活用したりすることで、ビジネスを変革させることができるのです。

ルールに縛られて変革がしづらい

コロナの影響でEC市場が急速に拡大しました。このwithコロナの時代、ECサイトや顧客接点となるフロント寄りのサービスはDXが進みましたが、その裏側はまだまだ「紙でピックしている」、というのが物流の世界。表側の見栄えは良いが、裏側はアナログ、というのが結局のところどの企業でも散見されているのが実情です。
生産者から消費者へモノが流れる「流通」は、商流と物流で成り立っています。本来、商流がこれだけドラスティックに変化したら物流も変わらないといけないけません。なのに、変わりきれていない、ついていけていないのはなぜでしょう。それは、既存のルールに縛られているからだと考えます。

例えば、再配達の問題などは2017年の宅配クライシスから挙げられていますが、いまだに解決したとは言えません。EC事業者と配送会社、消費者がデジタルで繋がれば解決できるはずなのに、それぞれが切り離された仕組みであること、既存のルールであることに縛られてなかなか実現していないのではと感じています。

スピーディーな変化が難しい分野

国をまたいだ移動が制限されたコロナはサプライチェーンにも大きな影響を及ぼしました。いままでは海外で製品化して日本に輸入、というグローバル展開が正でしたが、コロナで人やモノの移動が遮断され、モノが入ってこなくなってしまいました。解決策として、国内で生産すればいい、という考えは安易に浮かぶでしょう。ただ、言うのは簡単ですが、国内の生産工場にかける計画・工数や設備、人手の確保、さまざまな工程を経る必要があります。さらに、いままでの正義から真逆のことをしなければならないことへのジレンマ、抵抗を覚えることもあるのではないでしょうか。常識が変わってしまった中で、変えづらい、これがいい、となってもすぐに実現することが難しい分野だと言えます。


物流DXを実現するには

インターネットの普及により、時間と空間の概念がなくなったと言えます。瞬時に全国、各国と繋がり、オンラインのコミュニケーションツールにより、渡米しなくてもアメリカにいる方とすぐに会話ができるようになりました。世の中は大きく変わりました。情報も同じです。データ連携により今までできなかったことができるようになりました。このさまざまなシステム、サービスとのデータ連携による情報の活用がDXには欠かせません

DXの本質はデジタル化によっていろいろなものがデータでつながり、そのデータを活用して効率化、さらには革新的にビジネスモデルを変革し、社会そのもののあり方を変えることだとします。まず必要なのは、脱アナログをしてデジタル化、情報をデータ化することです。
例えば、物流の情報をデジタル化する、モノの流れを管理する仕組みのひとつに、保管倉庫で活躍するWMS(倉庫管理システム)があります。単なる倉庫管理もしくは、在庫管理として導入するのではなく、データ活用から実現できるビジネスの変革を考えるべきです。WMSのデータをいろいろな仕組みとつなぐ。つなぎ先は、ECサイトや店舗、工場、移動中のトラックや船、倉庫の中のマテハン機器など、"つなぐ"事によってできることの可能性が広がります。


物流DXを加速する、今後求められるWMSとは

まず、前提としてWMSを一から作るとなると、要件定義をしてから設計したときにはシステムと現場がフィットしないぐらい、時代の流れは速くなっています。クラウドサービスを上手く活用して、ある程度のベースを整えることをおすすめします。

拡張性と柔軟性

一番重要なのは拡張性と柔軟性です。上記に記載した通り、WMSはモノの流れの中心になるので、変化するビジネスモデルに対応するために必要です。ビジネスは事業拡大とともに変化します。ECサイトだけ、と決めてビジネス展開したけど店舗を開店することになったり、アパレルをやってたけど健康食品を始めたり、企業側の要因だけでなく、時代の変化に対応してビジネスも変化させることがあります。
そのため、いちいち開発をしていてはビジネスに間に合わない可能性がありますので、WMSには特に周辺システムとの互換性が求められると思います。これができているWMS は、今流行りのカートシステムとの連携に対応していたり、業務効率化につながる自動梱包機や物流ロボットといったツールとの連携がすすんでいたりします。

リアルタイム性

WMSとERPやOMSとの連携が従来のバッチ処理的な対応では、商流の変化を考えると難しいのではとも感じています。よりリアルタイムに対応する必要性が増していくと思います。
もともとメーカーや小売は、ERPやPOSとの連携をバッチ処理で行っていました。今日の1日で何が売れたか、を連携するため時間軸が1日でした。1990年代以降からECが出てきた時、今売れたモノを倉庫にある在庫から引き当てることが必要となり、時間軸が1時間、1分単位になりました。店舗とECの連携に苦戦される企業があるのは、時間軸の違いが関係しており、店舗とのシステム連携が追い付けていないのです。
正確な在庫数を管理できていないと、欠品や売り越しが起きるため、何が引き当てられているかはリアルタイムに見れた方が良いです。WMSと周辺システムの連携により、在庫がどのタイミングでどう引き当てられて、どう処理するかをしっかり把握しましょう。

可視性

WMSのトランザクションを見える化することで、今何が起きているのか、問題点はどこなのか、を発見し早期に対応できます。海外はちゃんとスタッフが働いているかの確認、監視の意味でも、業務にかかっている時間をリアルタイムに把握しようとしますが、日本は性善説があるのでここが遅れているのかもしれません。ただ、昨今物流は関心が上がっており、管理者として把握したい、というニーズが増えていると感じています。


まとめ

例で挙げたWMSは、例えばBIツールと連携することでWMSのデータをより有効に活用することができますし、商流に物流を合わせるだけでなく、物流のデータ活用により物流から商流を変える、ビジネスを変革させることもできます。 物流はまず、アナログ運用をデジタルに乗せて、業務効率化ツールを導入して省人化・自動化・無人化を目指してください。そして蓄積されたデータをリアルタイムに周辺システムとつなげて、時代に合うビジネスを展開していきましょう。

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先を見据えるクラウドWMS、ロジザードZEROをぜひご検討ください。

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https://www.logizard-zero.com/contact/


本コラムにご協力いただいた物流コンサルタント
株式会社LiNKTH(リンクス)代表取締役 小橋 重信氏

婦人服アパレルメーカーに10年勤務し、マネージャとしてブランド運営全般を行う。在籍中に上場から倒産までを経験し、ファッション業界からIT業界に転身。SONY(株)の法人向け通信事業部(bit-drive)で提案営業としてネットワーク及び、サーバー構築を行う。 その後、株式会社オーティーエスのEC物流の立ち上げ時に転職し、新規導入から現場改善、さらには、不良在庫販売や越境ECなどの新規事業を立ち上げる。現在は物流コンサルタントとして、物流改善、オムニチャネルの相談、越境ECの支援を行い、業界や学生向けの物流セミナーの講師として登壇している。ファッション×IT×物流の分野で「ファッション業界を物流から元気にしたい!」をテーマに活動中。

会社概要

会社名:株式会社リンクス
代表者:代表取締役 小橋 重信
所在地:〒279-0026 千葉県浦安市弁天1-23-1-916
事業内容:コンサルティング業務
お問い合わせ:https://www.linkth.co.jp/contact/