COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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最終更新日:2025/07/11 運輸業・倉庫業(3PL事業者)

工事不要で実現!物流倉庫の冬の寒さ対策と業務用ヒーター活用ガイド

工事不要で実現!物流倉庫の冬の寒さ対策と業務用ヒーター活用ガイド

冬の倉庫が抱える課題

日本の冬は地域によっては氷点下が当たり前で、倉庫業界からも「夏は蒸し暑く、冬は極寒」といった声が多く聞かれます。倉庫は広い床面積と高天井により暖気がすぐ上部へ逃げ、さらにトラックバースのシャッター開閉で外気が流入しやすいため、床付近の体感温度は想像以上に低下します。
寒冷環境は血圧上昇・筋肉のこわばり・判断力低下を引き起こし、低体温症や凍傷の労災リスクを高めます。医薬品や食品を扱う倉庫では温度逸脱による品質事故が発生する恐れもあり、寒さは生産性・品質・安全の三方面でコストを押し上げる要因と言えます。


空調工事が進まない三つの壁

倉庫の寒さを根本的に解決しようとすると、まず頭に浮かぶのが業務用エアコンの導入です。しかし実際には「わかっているけれど踏み切れない」企業が少なくありません。そこには次の三つの壁が立ちはだかっています。

① 初期費用の高さ

業務用エアコンは本体価格に加えて設置工事費や配管・電源工事も必要となり、1 台あたり数十万〜百万円規模の投資が発生します。広い倉庫では複数台が前提となるため、合計すると「想定以上の金額で社内決裁が通らない」という声がよく聞かれます。

② 工期とオペレーション停止リスク

天井への吊り込み、配管・電源敷設、試運転などで数日〜数週間は作業エリアを部分的に止める必要があります。忙しい年末商戦や繁忙期はもちろん、普段でも荷役や入出荷が詰まっていると「工事の時間が捻出できない」と後回しになりがちです。

③ 電源・配線の制約

高出力機は三相200 V回路が前提ですが、古い倉庫や賃貸物件では単相100 Vしか来ていないこともしばしば。この場合は分電盤の増設や幹線布設が必要になり、追加費用もさることながら安全面のハードルも上がってしまいます。

こうしたハードルを前に足踏みしている企業は少なくありませんが、だからこそ工事を伴わない"置くだけ"タイプの暖房機器が現場で重宝されているのです。


工事不要で導入できる業務用ヒーター

「工事は大変だけど、この寒さはどうにかしたい...」。そんな現場の声に応えてくれるのが、電源さえ確保できればすぐに使える業務用ヒーターです。ここでは代表的な温風式と遠赤外線式の 2 タイプを、ポイントを少し掘り下げてご紹介します。

【電気ファンヒーター(温風式)】

  • パワフルな温風で広い空間を一気に加温
    5 kW/10 kW クラスなら百平方メートル超を短時間で暖められ、大型ラックの並ぶ通路でもしっかり届きます。
  • クリーン&メンテナンスがラク
    灯油タンクや排気ダクトが不要なので、燃料補給の手間や臭い・排ガスの心配がなく、電源プラグを挿すだけで運転可能。
  • 現場で好まれる理由
    キャスター付きモデルが多く、ゾーンレイアウトの変更や繁忙期の仮設エリアにも柔軟に対応できます。

【遠赤外線ヒーター(輻射式)】

  • スイッチ ON からすぐに"じんわり"暖かい
    遠赤外線が人体や床・壁を直接暖めるため、立ち上がりがとても速く、作業開始直後から効果を感じやすいのが魅力です。
  • ピンポイント加熱で省エネ
    熱が空気を介さず届くため、広い倉庫でも「人がいる場所」だけを暖められ、電力を無駄にしません。
  • 静音・無風で快適
    風を起こさないので埃を舞い上げにくく、梱包作業や精密部品の検査エリアでも安心して使えます。

置くだけで使えるヒーターを上手に組み合わせれば、「工事に踏み切れないから寒さを我慢する」という状況から卒業できます。購入に加えてリースやレンタルといった調達方法も充実しているので、「まずは気軽に試してみたい」「繁忙期だけ増設したい」 といったニーズにも柔軟に対応できます。


倉庫での活用シーン

① トラックバース(荷受け口)

大型シャッターを開けた瞬間に冷気が流れ込む場所には、天井や梁に設置する遠赤外線チューブヒーターが効果的です。床やパレットをじんわり暖める輻射熱で、作業員の足元が冷えにくくなり、荷降ろしの手早さもキープできます。

② ピッキング通路(高層ラック間)

両端に10 kWクラスの電気ファンヒーターを置き、上部へたまりがちな暖気を循環させると、通路中央までムラなく温度が行き届きます。キャスター付きならレイアウト変更時もさっと移動でき、棚替えや増設の多い現場にぴったりです。

③ パッキング・検品台

1 kWの首振り遠赤外線ヒーターを作業者の背後や足元に配置すると、手指のかじかみが抑えられ、テープ貼りやバーコード読み取りの精度が向上します。無風・静音なので梱包材が舞い上がらず、作業環境も快適です。

④ 休憩スペース/詰所

プレハブの事務室や仮設休憩室には、0.6〜1 kWのパネル型遠赤外線ヒーターが好相性。スイッチを入れれば短時間で室温が上がり、静音・低消費電力で従業員のリフレッシュがはかどります。

⑤ 繁忙期の仮設ゾーン

年末やセール時に増設するテント倉庫や臨時仕分けエリアでは、5 kWクラスの電気ファンヒーターをレンタル導入すると便利です。設置・撤去が簡単で、ピークが終われば返却できるため、倉庫内の保管スペースも圧迫しません。

⑥ 物流センターのクロスドックエリア

入荷から出荷まで滞留時間が短いクロスドックでは、人と荷物が留まるプラットフォーム付近を遠赤外線スポットヒーターで局所的に暖めると、荷扱い効率を落とさずに防寒対策ができます。重いコートが不要になるため、ハンドリングもスムーズです。

現場のレイアウトや作業内容に合わせて「温風で空間を暖める」「遠赤外線で人と荷を直接暖める」を使い分ければ、倉庫や物流現場のあらゆるエリアで寒さによるロスを最小化できます。最適配置に迷ったら、専門業者に相談して"ちょうどいい暖かさ"を実現しましょう。


導入時の注意点

倉庫の構造や作業内容は一つひとつ異なるため、「とりあえず置けば暖まるはず」と機器を選ぶと、期待した効果を得られないだけでなく 「電圧が合わずヒーターが動かない」「ブレーカが落ちて止まる」 といったトラブルも起こりがちです。導入前に次のポイントを確認しておくと安心です。

  • 電源種別・容量
    三相200 Vか単相100 Vかを必ず確認し、ブレーカ容量もチェック。容量不足や誤配線は出力低下や遮断の原因になります。
  • 配線距離と電圧降下
    ヒーター設置場所が分電盤から遠い場合は太めのケーブルや専用回路が必要。電圧降下を防いで機器性能を保ちます。
  • 粉塵・換気管理
    温風式は埃を舞い上げやすく、遠赤外線式でも換気不足は結露や機器故障のリスクに。倉庫の換気計画とセットで検討しましょう。
  • 暖房負荷計算
    建物の断熱性能、在籍人数、機器発熱などを加味して必要出力と台数を算定。多すぎても少なすぎてもコストと快適性に影響します。
  • 安全装置・設置スペース
    転倒OFFや過熱防止機能の有無、周囲の可燃物との距離、移動通路の確保など安全面も忘れずにチェック。
  • 調達方法の比較
    購入・リース・レンタルそれぞれの初期費用、月額コスト、保管スペースやメンテ負荷を試算し、繁忙期の増設や将来のレイアウト変更も視野に入れて選択します。

これらを一つずつ洗い出すのは手間がかかりますが、暖房のプロに相談すれば 電源調査から負荷計算、最適機種の選定、リースやレンタル手配までワンストップで対応 してもらえます。導入スピードも確実性もぐっと高まるため、「まずはプロに聞いてみる」ことが失敗しない一番の近道です。


防寒対策、次の一手は?お気軽にご相談ください

倉庫や物流現場の寒さ対策は、作業スピードの向上やミス削減だけでなく、従業員の健康維持や離職防止にも直結する大切な投資です。工事不要の業務用ヒーターなら、広い空間をまるごと暖める方法と、人や荷物をピンポイントで暖める方法を柔軟に選べるため、短納期・低コストで効果を実感しやすいのが魅力。さらに電源やレイアウトなどの条件を踏まえて最適機種を選べば、電力ロスやブレーカ遮断といった失敗も避けられます。
貴社の倉庫・施設にぴったりの製品選定は、暖房のプロに任せたほうが安心・確実です。
ご興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください。

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ロジザードコラム編集チーム

クラウド在庫管理システムを中心に、小売業や流通業の物流・在庫管理に関する情報をわかりやすくお届けする編集チームです。導入事例、コラム、ホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、物流現場の課題解決や業務改善のヒントを発信しています。現場視点を大切に、皆さまのお役に立てる記事づくりを心がけています。